2012年07月25日

NO.7 History and Culture 〜Port, Market, and・・・Prison in Fremantle〜

 フリーマントル(Fremantle)でバスを降りると、時折吹く風が潮の香りを運び、上空にはカモメが飛び交っています。ここはパース中心部から西に約20km、大学からだと12〜13kmにある港町です。
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フリーマントルの歴史ある町並み

 ということで、午前中の授業を終え、午後はフリーマントルへのミニ遠足に出かけました。
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午前中はパソコンを使って探究活動 祥雲生の十八番です

 西オーストラリア州の重要な貿易港となっているフリーマントルは、パースのC.B.D.(=Central Business District/中心業務地区)とバス、鉄道のみならずフェリーやクルーズ船でも結ばれ、州都の外港の役割を果たしています。日本と西豪州の経済関係を語る上でも欠かせない港湾です。
 
 同時に、毎年11月に南極観測船「しらせ」が寄港することでも知られています。空路やってくる観測隊員が乗り込んだり、水や食料、燃料などを積み込んだりする補給・中継港なのです。2009年に就役した2代目「しらせ」もここを訪れ、日本と西豪州の多面的な結びつきを象徴しています。
 
 一方、西豪州に始めてヨーロッパ人が上陸した地でもあり、歴史の深い町でもあります。1830年から31年にかけて建造された、西豪州で一番古い公共施設(刑務所ですが)であるRound Houseは、オーストラリア全体で見てもかなり古い時代のものです。
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Round House
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Round House越しに望むインド洋

 そのほか、町のいたるところに優に100年を超える教会や住居が並んでいます。引率のAnna先生はとても詳しくフリーマントルの歴史や町並みを説明してくださいます。このお店が素敵よとか、ここはアボリジナル・アートが有名でとか、ここから見える海の景色が最高よとか。生徒たちはAnna先生お勧めのキュートなショップで大盛り上がり。「お父さんにはこれで、お母さんにはこのピンクの。いとこには・・・」と日本で待つ皆さんへのお土産を選んでいきます。(皆さん、帰国を楽しみにしていてくださいね。)

 ん?それにしてもAnna先生、詳しすぎないか?聞いてみよう。“By the way, do you live in Fremantle?” “Yes, I do.” I doのほうに力をこめて発音するあたり、何かありそうです。

 すると、“Look at that building at the corner.(あの角の建物を見て。)”指差すほうを見ると、これまた相当古そうな3階建ての建物。薄い黄色の壁に丹塗りのバルコニーがハイライトになり、印象的です。1階はカフェのようです。

 「この建物の3階で、私のお父さんのお父さん、つまり、父方の祖父が生まれて育ったの。私にとって特別な建物だし、特別な町なのよ。」なんと、観光名所にもなっている建物でお爺さまがお生まれになったとは。“You mean you are from Fremantle?(フリーマントル生まれってこと?)” “Yes, exactly. I was born in this lovely city.(そう、そうなの。私はこの美しい町で生まれたのよ。)”

 どおりで、愛情たっぷりの語りぶりです。生粋の「Freoっ子」(この町の愛称はFreo=フリオというのだそうです)に案内していただくとは、本当に光栄な機会となりました。

 さて、最後に研修団がやってきたのは“Fremantle Prison Museum(フリーマントル刑務所博物館)”。このミニ遠足のメイン・テーマです。当館のベテランガイドAmandaさんの案内で刑務所ツアーが始まります。
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正面ゲートの前で記念撮影 このときはまだ・・・

 ここは「刑務所博物館」とは言うものの、1850年代の使用開始から1991年に重警備刑務所としての役割を終えるまでの134年間、9000人に上る囚人を実際に収監していた本物の刑務所・刑執行施設なのです。収監されたのは、主に連続殺人犯などを含む凶悪犯で、実際に44人の死刑も執行されました。
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塀の内側からの風景はなかなか見られません

 死刑もあった、冤罪もあった、暴動も、懲罰も・・・Amandaさんのガイドは続きます。初めははしゃいでいた研修生たちも、説明の内容の生々しさにだんだん重苦しい面持ちに・・・。引率者もAmandaさんの話を要約的に通訳して説明するのですが、正直に言ってつらくなってきました。(しかも、引率者が「脱獄囚の懲罰」再現の実験台にもなり、はりつけの体制で鞭打ちを受けながら通訳するという、喜劇的な場面もあったのです・・・。)
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ベテランガイドのAmandaさん

 ところで、歴史は常に正の側面も負の側面も表裏一体で、きわめて重層的に刻まれます。流刑地として始まったオーストラリアの歴史を、ユーモアを交えながらも真剣に語って下さるAmandaさん。自分が生まれ、愛してやまないこの町の魅力を、異国から来た少年・少女たちに楽しそうに話すAnna先生。内容は対照的でも、自国の、そして自分の文化的背景や歴史について、誇りを持って真正面から語る姿に研修生たちも何かを感じてくれたのではと期待しています。そして、相手の文化を知るというのは、こういうことを学ぶことなのかもしれません。

 翻って、私は自ら語る何かを持ち合わせているのでしょうか。互いに語り合うことが相互理解への第一歩だとすれば、私は何を語ればいいのでしょうか。私自身が自省するとともに、明日以降、研修生たちにも伝えながら、一緒にに考えていくべき大切な事柄に気づかせてもらいました。実に有意義なミニ遠足となりました。

 ところで今日は生徒の活動レポートよりも、引率者が感じたことを拙文につづるだけの、退屈なブログになってしまいました。しかも、長い。研修生の生き生きとした姿を期待していた皆さんには心苦しいばかりです。

 え?刑務所博物館でショックを受けた研修生たちですか?大丈夫です。帰りのバスの中で、ポテトチップをほおばりながらジュースをゴクゴクと飲み、「キャッキャッ」とハイテンションでノリノリでしたから。それにしても、みんな本当に元気です。帰るころにはみな文化も歴史も体得した、本物のAussieになっているかもしれませんよ。

N.Miyahita@Perth

 ちなみに、フリーマントル刑務所は国内の他の刑務所施設とともに、2010年にユネスコ世界遺産に登録されたそうです。
posted by 三田祥雲館 at 20:45 | 兵庫 ☁ | Comment(4) | 海外研修